世界情報社会サミットが開催される背景と経緯

wsis_03_02現代社会の中でのインターネットや情報通信技術の役割がますます強まってきています。これからの情報社会をどうデザインしていくかということは、情報通信技術に関わる者だけでなく、私たち市民一人ひとりが自分のこととして考える必要があります。コンピュータやネットワークは社会や生活の至るところに入り込んでいるからです。

社会の中で情報通信技術をどのように使うか、特に監視やコントロールの技術をどこまで使用することを認めるかなどについて、社会的なコンセンサスがないまま、人々が気づかないうちに個人の自由が制約される方向に進むことは避けなければなりません。市民の立場からの意見をどう反映させていくかということがとても重要です。

国連は2003年12月にジュネーブで、さらに2005年にチュニスで世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society: WSIS,http://www.itu.int/wsis/)の開催を決めています。
情報社会についての共通ビジョンの確立及び理解の促進を図り、このビジョンの実現に向けて協調的に発展を遂げるための宣言及び戦略的な行動計画を策定するため、各国政府首脳レベル、国連専門機関、民間部門、市民社会、NGO等広範な分野からの参加を得て、国連行事として開催することになっていて、国際電気通信連合(ITU)が準備を主導しています。

このWSISの開催は、1998年のITU総会でチュニジア政府が提案し、2001年12月の国連総会で決定したものです。そして、表3のような日程で準備が進んでいます。

国連はこのWSISを、1992年にリオデジャネイロで開催した地球サミットと同程度に重要なイベントとして位置づけています。サミットで議論を予定されているテーマは、たとえば、

・発展途上国が情報通信技術に関するグローバルな決定プロセスに参加する権利
・文化の多様性の保障
・情報社会における知的財産権問題
・情報通信技術に関する人材と教育問題
―など多岐にわたります。

浜田忠久(JCAFE代表理事)は、2002年6月にマレーシアのコタ・キナバルで開催されたGKPアジア太平洋地域会議、同年10月にアメリカのケンブリッジで開催されたCPSR年次会議、カナダのモントリオールで開催されたグローバル・コミュニティ・ネットワーキング、さらに同年11月にタイのバンコクで開催されたWSIS: アジアNGO対応会議に出席し、海外、主にアジアのNGOとWSISへの取り組みについて協議を重ねました(それぞれWSISの分科会が設けられた)。

海外のNGO, 特に情報通信NGOとは、これまでのInterdoc, AsiaLink,APCなどで交流があり、情報社会の諸問題に対する認識をスムーズに共有することができました。

中でも、11月のWSIS: アジアNGO対応会議は、会議全体のテーマがWSISと2003年1月のWSISアジア太平洋地域会合(東京)への対応であり、市民側の議論用メーリングリストの設置、Webの構築なども含め具体的な議論をすることができた。会議の最終日には、筆者も含めた参加者と「WSISに向けてのアジアのNGOの宣言」をまとめ、Webに公開しました(『インターネットと市民』(丸善刊)より抜粋、編集)。