場所:浜松市
1.はじめに
浜松NPOネットワークセンター(以下、N-Pocket「エヌポケット」)は、「当事者とともに」をコンセプトに活動するNPO法人です。市民活動支援、環境・地域の自立、子どもの社会参加、在住外国人との共生、障害者の就労支援、ITによる社会参加、そしてコミュニティアートといった支援を行っています。2.「情報のユニバーサルデザイン」との出会い
N-Pocket 副代表で、静岡県西部障害者マルチメディアセンター(以下、MMC) 事業担当の井ノ上美津恵さんは、「情報のユニバーサルデザイン」という概念を知る前から、視覚障害者の生活におけるパソコンの必要性を実感していたといいます。
そこで、静岡県からMMCを設立したいと相談を受けた際、視覚障害者支援に特化した設備にしたいと提案しました。全盲の視覚障害者が委員長に就任した、マルチメディア情報センターという準備委員会発足を機に、障害者団体との関係も深まりました。こうした経緯から、N-Pocket では視覚障害者にとってのウェブのアクセシビリティを確保する支援を行う活動に重点を置いています。
3.障害者の就労支援としてのウェブページ作成講座
N-Pocket では、2001年度から障害者の就労支援講座を開催しし、その受講生が、パソコンを使った点訳作業やMMCの非常勤スタッフとして働いています。また、就労支援の一環として、ウェブページ作成講座を2003年度から開催し、就職することができた受講者もいます。
とはいえ、基本操作やウェブページの作成を習得しただけでは、なかなか就職に結びつきません。そのため、2003年度からは「ユニバーサルデザインに配慮したWeb の作成講座」に内容を特化させました。
4.N-Pocket のウェブサイト全面改訂、ユニバーサルデザイン化
2004年夏、就労支援講座のOJTのきっかけとしようと、N-Pocket のウェブサイトをユニバーサルデザインに配慮するため全面改訂を行いました。これには、お金をもらって仕事をするという経験を講座の卒業生に提供する以外に、N-Pocketにとっても大きなメリットがあったといいます。
井ノ上さんは、「ユニバーサルデザイン化にする過程で、コンテンツの構造化をすると、自分たちの事業が非常によく理解できることに気がつきました」と語っています。
また、問い合わせが増えるという副産物も生まれました。構造化の過程で、ウェブで使われる用語を専門外の人にもわかりやすくしたことや、スタイルシートに見た目を任せ、検索エンジンでヒットしやすくしたためです。
ユニバーサルデザイン化が、結果的に組織運営の強化、そして団体へのアクセスのしやすさにつながったという話は、大変興味深いものでした。ウェブサイトのアクセシビリティを確保することは、障害者に限らず、より多くの人とのコミュニケーションを円滑にすることを示す好例といえます。

